2010年 03月 29日
3月も末。 気温が下がり、荒れた天気のお陰で超低水位だった川は一度増水して、息を吹き返したはず。 気温、水温が下がってくると活発化してくるメイフライの動きに合わせて、きっとたくさんのブラウンたちが静かなプールに無数のライズリングを作っているに違いない・・・・・・。 との推測のもと、向かった先はマタウラ川下流域。ブラウン・トラウトのライズ狙いの釣り場として、世界的な名声を誇るエリアです。 前日に、マタウラ下流域を専門とする名ガイドで、以前からの知り合いのデイビッドに「泊めて」とメールすると、自分にとっては幸いなことにお客さんもいないらしく、快い返事が返ってきました。ということで、1泊分の「お泊りセット」と釣り道具一式を車に放り込んでの釣りと相成ったのです。クイーンズタウンからたかだか2時間の場所に行くのに、わざわざ泊まらなくてもいいと言えばそれまでなのですが、泊めてもらいたいもう一つの理由があるのです。デイビッドの奥さんのべブ(Bev)の手料理がそれ。べブの料理はとにかく一級品。家庭料理といえば家庭料理なのですが、何を作らせてもとにかく美味しいのです。自分としては、釣りと同じくらい楽しみにしているというわけ。 ところでこのデイビッド、日本の釣り雑誌なんかにも時々登場し、プロの釣り師たちからの信頼も厚い有名ガイドです。日本の釣り専門の旅行会社なんかもたくさんお客さんを送り込んでくるので、このブログの読者のみなさんの中にも、デイビッドにお世話になった人がいるのでは?と思います。 マタウラ下流域を知り尽くし、ガイドの腕も間違いなく一級品。釣り場や釣りのスタイルは違っても、いつかあんなガイドに自分もなりたいものだ、と心から思える自分にとってはお手本のような人です。 さて、昼過ぎにデイビッドの家に到着して挨拶を交わすやいなや、「今日は気温も低いし、風も弱い。条件は良いはずだから、ハッチはいつ始まってもおかしくない。早く準備しろ!」だって。あら、そう。ということで、釣り道具をポン、ポン!とデイビッドの車に放り込んで、早速川に向かったのでありました。 川までの道中、釣りの状況を訊くと、どうやら今年は集中したメイフライのハッチがまだ始まっていないらしく、まだ状況は理想的という状態には程遠いとのこと。でも魚は相変わらずたくさんいるから、ニンフやウェットの釣りが面白いよ。というこちらの期待をいきなり裏切るコメント・・・。まあ、今日が良い時期のスタートになるかもしれないよね、という希望的観測を胸に抱いたことは、言うまでもありません。 実際はどうだったかというと、デイビッドの言うとおりでした・・・。さすが。 本当だったら、ハッチの無い時間帯でもライズの一つや二つはみられるマタウラ下流域なのですが、河原に降り立ってみるとライズの「ラ」の字も無い状態。「じゃ、ニンフにしようか」と、瀬をニンフで攻めるものの、反応は全然なしという、マタウラの面目丸潰れの状態から、釣りはスタートしました。自分的には、「え~っ!なんで~?」というくらいの沈黙振りです。魚はけっこう見え隠れしているんですよ。ただ、反応が悪すぎ。 デイビッドはと言うと、「じゃ、俺は、ライズが無くてもブラインドでドライを投げてみるよ。」と、一つ上の瀬へ。ちなみにもちろんですが、ガイドとして川に立つ時には、彼はロッドを手にすることはありません。自分も。 あんまり反応がないので、小さいストリーマーを投げたり、メイフライ系じゃないフライを投げたりと、普通は誰もマタウラ下流域ではやらないことを試しつつ遊んでいる自分を尻目に、デイビッドは全然ライズがない良くない状態にも関わらず、ポン!ポン!と立て続けに2尾キャッチ。これまた、さすが。 ただ決して簡単ではない状況に、彼もこちらと同様に首をひねり続けていた、そんな午後でした。 最高気温17℃。水温11℃。川の水位もちょうど良いくらい。物理的な条件だけだったら、理想的だったんですけどね。う~~~ん・・・・。 この日の釣りはその後、自分がニンフで1尾キャッチしたところで、終わりました。 夜は、Bevの美味しい食事と共に、明日の天気の心配と、ガイド同士ならではの情報交換に花が咲き、更けていきました。「あの川は今年は・・・・。あの湖は・・・・。日本人は減ったねえ・・・。」などなど。 翌日は、前日の状態よりは、ずっとマシな釣りになりました。 午後1時を過ぎたころからダンの流下が始まり、ライズもポツポツと。 ハッチの量は、ぎりぎり魚たちの意識を水面に向けさせるくらいの量だったので、決して魚が狂喜乱舞するような状態にはならなかったのですが、それが1時間少々続いたおかげで、ようやくマタウラ下流域らしい釣りにありつくことができました。 ダンのパターンの#18を、きっちり魚のフィーディング・レーンに流してあげると、時には大きな頭を水面から出し、また時には吸い込むように、フライを食べてくれたのです。「そうそう、これがしたかったんだよ。」と自分的には少し安心。これがもう数週間後には、きっと雨が降るようなハッチと、川が沸騰しているかのような無数のライズの饗宴に変わってくるはずです。 ちなみにここの魚のコンディションは超・バツグン。 サイズは小さくても、サイズ以上のファイトで楽しませてくれます。 この日釣った最大魚は、最近の自分的には小さい54cmでしたが、ファイトの最中には「やった、60オーバーだ!」と思ってしまったくらいの力強さがありました。 まあそんな、ものの1時間のハッチにすっかり満足したところで、2日間の釣りは終了。 「期待通りとはいかなかった」と言ってしまえばその通り。でも、十分に楽しいデイビッドとの釣りが出来たので、自分的には満足です。デイビッド的には、もう少し釣らせたかったみたいなんですけどね。職業病ですね。 でもいつもデイビッドには言うんです。「10時間以上も飛行機に乗って、釣りだけのためにやってくる日本の人たちとは自分は違うよ。自分はローカル(地元民)。魚が釣れるか釣れないかよりも、過ごす時間のクオリティの方が大切なんだよ。」と。 それはデイビッドも同じなので、この2日間の釣りは、お互いにとっても肩の力が抜けた、「ゆるゆる・フィッシング」。日本の釣り人がもしそこにいたら、「やる気ねえなあ」と思われたかもしれませんね。(笑)
by nzsanpei
| 2010-03-29 18:21
| 釣り日誌
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Comments(2)
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ニュージーランドは南島、クイーンズタウン在住のフィッシング・ガイドの気ままな釣り日誌。NZのフライフィッシングって、こんな感じです!?コメントお待ちしています! by nzsanpei カレンダー
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